昨年から新型コロナ感染症が全世界で猛威を振るい、我が国でも緊急事態宣言が昨年4月と本年1月に発出されるなどして、依然その収束が見通せず、幅広い分野において深刻な影響が生じている。
建設業でも同様で、現場においても早期から徹底した感染症予防対策を行いつつ、健全な環境の整備や企業の適正な利益の確保などの流れを止めずに事業継続に努めているが、今後、景気の悪化に伴い民間投資の減少が予想されるなど、その影響が長期化・深刻化することが懸念されている。
一方、昨年もまた、令和2年7月豪雨等で多くの人命や財産が失われたように、近年、気候変動の影響等のより大規模な自然災害が頻発し、今年2月にも東日本大震災の強い余震が発生しており、今後10年は続くとの予想もある。
このような状況を踏まえ、今年度から政府が新たに取り組む「防災・減災、国土強靭化のための5ヵ年加速化対策」では、5年間で概ね15兆円と、これまでの3ヵ年緊急対策より実施期間や予算規模、事業範囲が大幅に拡充されており、防災・減災、国土強靭化対策の加速化・深化が図られることが期待される。
私たち建設業は、人々が安心できる安全な生活基盤の整備を担う産業として大きな期待が寄せられている。特に地域建設業は、地元の雇用や経済活動を下支えするとともに、災害が発生した際はその最前線で対応に当たる「地域の守り手」として、極めて重要な社会的役割を担っている。
また建設業界は、デジタル化・IT化の重要性が求められている業界でもあり、積極的に現場監視サポートシステムやWeb(リモート)会議システムを推進することが必須である。コロナ禍の現在、このデジタル化やITインフラ整備が進められる契機となり業界発展にも繋がっていくと予想される。
このような現状を踏まえて、本会の2021年度事業活動は、コロナ禍で落ち込んだ景気を少しでも回復させ、雇用拡大と経済活動活性化、魅力ある建設産業の再構築と地場建設業の発展のため、行政及び関係団体と連携を図りながら次の事業計画に基づき推進することとする。
将来に備えた災害に強い国土づくりが求められる中、地場建設業が担い手を確保し、生産性の向上を図るとともに地域の安全・安心の守り手として社会的使命を果たしていくためには、安定した経営環境を確保することが最も重要となってくる。このため、引き続き、全国建設業協会を始め関係団体と連携し、あらゆる機会をとらえ、公共事業予算の安定的な確保と社会資本整備の計画的推進について、国・県等関係機関に提言・要望活動を行う。
昨年度までの「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」に代えて、今年度からこれを拡充した「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」が実施されることとなった。
わが国では豪雨、台風、地震、火山噴火等大規模な自然災害が頻発し、毎年多くの人命や貴重な財産が失われており、これら大規模災害から国民を守り、安全安心に暮らせる強靭な国土をつくるためには、5か年加速化対策が毎年確実に実施されなければならない。
このため、福岡県建設業協会では、この取組みが安定的・継続的に実施されるよう引き続き関係機関に要望を行うと共に、必要な社会資本整備の推進に積極的に取組んでいく。
昨年度に引き続き地域建設業界の喫緊の課題や国・県などの政策課題等について積極的に意見交換会を開催し、直面する諸課題の解決に取り組む。
2021年度実施する事業計画(意見交換会・会議)
~継続的事業
(1) 当会が主催する意見交換会
①九州地方整備局との意見交換会
②福岡県建築都市部との意見交換会
(2) 全国建設業協会・九州建設業協会の委員会や会議への参画
①全国建設業協会 委員会
②九州建設業協会 定例懇談会
③九州建設業協会 地域懇談会
新担い手3法について、法改正後の適切な運用のため、全国建設業協会と協調して発注者等における運用状況を調査し、会員企業へ情報提供を行う。
特に、改正品確法について、国はもとより地方公共団体、特に市町村における新たな運用指針の浸透・運用状況等について調査分析を行うとともに、改正建設業法に基づき昨年勧告された「工期に関する基準」について、公共工事のみならず民間工事における運用実態の把握に努め、関係機関に対する具体的な提言・要望を行う。
また、地方公共団体や市町村における最低制限価格制度・低入札価格調査制度の運用についても適切な運用がなされるよう働きかけを行う。
2021年度実施する事業計画(情報収集・分析)
~継続的事業
①九州建設業協会建築委員会・・・2回参画
②九州建設業協会土木委員会・・・2回参画
③改正品確法の運用指針に定められた事項について、
発注者の運用状況、受注工事における収益性等について、情報収集及び分析(随時)
① 生産性向上に関する諸問題への取組
インフラ分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組を加速させる国の方針の下、ICT施工、ICT技術を活用した施工状況の遠隔確認やプレキャスト化などのi-Constructionをはじめとする生産性向上策に関する情報について、収集・研究を深め、会員企業への情報提供を行う。
特にICT活用工事については、会員企業が取り組みやすい環境が整備されるように、小規模工事への導入上の課題、積算上の課題、人材育成・設備投資の負担等の課題の解決に向け、全国建設業協会と協調し提言・要望を行う。また、BIM・CIMについても、情報収集に努め、適宜会員へ情報提供ができるよう取り組む。
② 建設技術者の技術力向上
会員企業技術者の自己研鑽・技術力向上のための諸方策について検討するとともに、体系だったCPD、CPDS認定取得機会の構築と講習会(オンラインを含む)等の開催を行う。
2021年度実施する事業計画(講習会・研究会)
~継続的事業
①建築委員会関係・・・2回開催
②土木・道路委員会関係・・・2回開催
③各支部から独自の意見を吸上げて開催する講習会(随時)
④ICT研究会(ICT現場見学会等への参画)
環境関連法令、建設副産物適正処理の施策等の動向について、情報収集に努め、適宜会員企業へ情報を提供するとともに、必要に応じて関係機関に対して、提言・要望を行う。
環境関連法令、建設副産物適正処理の施策等の動向について、情報収集に努め、適宜会員企業へ情報を提供するとともに、必要に応じて関係機関に対して、提言・要望を行う。
将来の担い手となる若年労働者の入職促進・定着、また高齢者・女性・外国人労働者など多様な人材の活躍機会拡大を図るため、政府が進める働き方改革等を踏まえ、労働環境や処遇の改善に取組む。
① 働き方改革の着実な進展に向けた取り組み
建設業における令和6年4月からの時間外労働の罰則付き上限規制の導入を3年後に控え、地域建設企業が適正に事業を継続しながら改善への取組みが実現できるよう、事業の発注方法や法制度等について研究・検討を行う。
また、建設業の担い手の確保、育成のため発注や施工時期の平準化、週休二日制の確保を強く要望していくほか、生産性の向上を図るため、建設業におけるICT技術の活用やi-Construction、テレワーク等の施策に関する情報を収集し、適宜会員企業に情報提供する。
② 建設キャリアアップシステムへの対応
技能者の処遇の改善や技能の研鑽を図ることを目指す建設キャリアアップシステムについて、全国建設業協会と協調しメリットまた課題等を把握し、普及促進に向けた提言・要望を行う。
③ 外国人就労への対応
全国建設業協会と協調し、国内外における特定技能外国人の試験及び求職情報を会員企業に情報提供するほか、特定技能外国人等の適正な就労に向けた課題・改善点を調査し、地域の実情に合った運用がなされるよう提言・要望を行う。
④ 女性の定着促進に向けた環境整備
建設業で働くすべての女性が、働き甲斐と働きやすさの両立により、就業継続の実現に向けた情報発信を行うとともに、働き続けられるための環境整備に取り組む。
⑤ 高齢者の更なる活躍に向けた環境整備
令和3年4月に施行予定の改正高年齢者雇用安定法を踏まえ、高齢者の更なる活躍に向け、短時間勤務等の雇用形態の多様化をはじめとする雇用管理制度の改善などの取り組みについて、調査・事例収集等を行い、会員企業に情報提供する。
⑥ 建設労働者の福祉向上への取組
全国建設業協会が進める「休日月イチプラス運動」、「社会保険加入の徹底」、「設計労務単価引上げアップ宣言」等の活動に協調し労働環境の改善を進めるとともに、休日確保や若手従業員獲得などの成功例や解決策等事例を収集し、会員企業に情報を提供する。
労働安全衛生法に基づく対策を周知・徹底し、労働災害の防止に努めるとともに、建災防等団体との連携を密にし、諸事業の実施に関する情報収集に努め、会員企業に提供する。
2021年度実施する事業計画(担い手育成事業)
~継続的事業
(1) 当会が主催する会議・事業
①新入社員研修(オンライン)
②高校生及び現場関係者親子の現場見学会
③女性活躍研究会
(2) 九州建設業協会委員会への参画
①九州建設業協会労務対策委員会
(3) 関係機関主催の会議・事業への参画
①福岡県建設雇用改善推進対策会議
(4) 建設キャリアアップシステムへの対応
暴力団排除条例の全国施行、品確法の改正等を踏まえて改定された「建設企業(団体)行動憲章」(全建作成分)について会員企業に周知し、建設企業のコンプライアンスのさらなる徹底に取り組む。
当協会の社会的貢献活動の充実を図るとともに、建設業が国民・社会から正しい理解が得られるよう啓蒙活動等に努める。
2021年度実施する事業計画(社会貢献活動)
~継続的事業
①勤マルの日活動(地域清掃活動)
②献血活動
③緊急災害支援活動
近年激甚化・頻発化する災害に対し、地域の防災・減災対策、災害対応等を担う建設業界として災害予防や応急復旧活動について関係行政機関と連携強化を図る。
また、福岡県との防災協定に基づく対応を強化する他、災害対策基本法に定める「指定公共機関」に指定された全国建設業協会の会員として防災業務計画に基づき災害対応に係る必要な体制構築に向け研究を行う。
2021年度実施する事業計画(防災活動)
~継続的事業
①防災研究会
②福岡県建築物災害対策協議会
新型コロナウイルス感染症対策で導入したリモートによるテレビ会議システムについて、各種会議や講習会などへ利用範囲を拡大していくとともに、会員企業への連絡等についてもオンライン化を検討し、事務の効率化を図る。
建設業の果たす役割や必要性について、国民・社会から正しく理解され、若者が夢を以て将来を託せる魅力ある産業とするため、建設業界の実態や主張を効果的に発信し、積極的な広報活動を行う。
本会ホームページや広報紙「ひと・まち・ふくおか」を活用し、建設業の社会的使命・業績並びにその魅力を伝える。
2021年度実施する事業計画(広報活動)
~継続的事業
①広報紙「ひと・まち・ふくおか」の発刊・・・年3回
②ホームページの活用
③建設関連団体合同 新年賀詞交歓会
1.関係各官公署との連絡協議
2.全建・九州ブロック並びに各都道府県との連絡協議
3.会員所在各市との連絡協議
4.各地区会員との連絡協議並びに活動援助
5.建設関係功労者表彰候補者、全建表彰候補者の推薦並びに協会表彰の実施
6.事務局の事務合理化
7.建退共福岡県支部に対する業務援助
8.関係団体に対する協力援助
・福岡県建設関連産業協議会
・西日本建設業保証(株)
・(公財)建設業福祉共済団
・(一財)建設業振興基金
9.各種関係団体並びに報道関係者との連絡協議
10. 全建・九州ブロックと緊密な連携による施策の推進
11.その他本会の目的を達成するに必要な事業
◎上記事業計画推進のための必要な調査・視察等の実施、法令の制定・改正に伴う説明会、各種講習会等を開催(支援)する。